書庫の整理をしていたら、「有田郡生物調査報告」という文献を発見しました。
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これは、昭和13年から15年にかけて有田郡内の先生がたが出版されたものを
平成1年に有志の方が再編集、再発行した物のようです。

中には、有田郡内の魚類、植物、貝類、甲殻類、昆虫、脊椎動物などの目録や、
採集記録などが掲載されています。

魚類目録は、実に406種が掲載されており、
まだ十分な文献資料が無かったであろう時代に、素晴らしい充実ぶりです。

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残念ながら、どこでどのように調べた物かがわからないのですが、
深海性のサメであるフジクジラなどが採録されている事から底引き網の、
マグロ類やアカマンボウなどから、まぐろ延縄の漁獲物が含まれる事が伺えます。

また、別項の口脚類(シャコ類)の頁には箕島漁港ほかの漁獲物を調べた旨が
同じ著者により書かれていますので、漁港での漁獲物調査が行われたのは間違いないでしょう。

他の資料もまとめてみないとわかりませんが、現在当所で水揚げで見られる魚は
8割以上は網羅されているのではないでしょうか?

中にはウバザメやイトマキエイなど、最近は見られない種も含まれています。

また、ホトケドジョウ(ナガレホトケドジョウ)についての短報ものっており、
有田川流域での初記録についても述べてあります。

他の動物群でもカブトガニが漁獲される事、タガメやゲンゴロウが居た事など、
今となってはもう見られない、当時の有田郡の豊かな動物相が伺えます。


文中には、まとめ上げるために多くの苦労が有った事がわかる採集記や会議録も見えます。

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”発刊に際して”には
「前略)表立たぬ会合と研究調査物は今委員の手中に山積してゐる。
その努力苦心の並大抵でないこと、特に費用を要する事を一言したい。」

とあり、いつの世も変わらぬ厳しい懐事情が偲ばれます。

75年前の先生方が残した文献は、当時の地域の自然を今に残す貴重な財産です。
後の世のため、記録を残そうとされた先達の思いと、平成になり復刻してつなげようと思われた方の思い。
様々な熱い思いに大変感銘をうけ、我々ももっとがんばらねばと思いました。