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いよいよ特別展が始まりました。
始まった後も、なんやかやバタバタしており、ブログで紹介できませんでした。

ぼちぼち紹介しようと思います。

特展2011

こちらが特別展会場入り口です。

館内でイベントをするときに使用する「レクチャールーム」が会場です。
正直言って、あまり広くありません。

今回初めての試みとして、看板パネルをドアに貼り付けてみました。
なかなか目立って、良い感じだと思っています。
「うなQ」のロゴも、チラシを作って下さったデザイナーさんの力作!
なかなかインパクトあります。


その看板に引かれて入った真正面にあるのが、この水槽。

特展2011

なんと!生きたウナギの赤ちゃん。「レプトケパルス幼生」を展示しています。
本当に透明で、柳の葉っぱのような形をしています。
生きたレプトはなかなかみられませんよ~
ぜひこの機会にご覧下さい。

あまりに透明すぎて、気づかずに通り過ぎる人が続出したので
目立つように、吹き出しを付けました。
これで、だいぶ注目度が上がったように思います。

生きたレプトは、(独)水産総合研究センター増養殖研究所、志布志庁舎から提供していただきました。
ありがとうございます!

この写真では、「レプトってどれ?」ってかんじなので、

ウナギのレプト
((独)水研センター調査船 俊鷹丸にて採集)

ウナギの赤ちゃんはこんな感じです。
これは採れたてですが死んでいるのでいくぶん白いです。
生きたのは本当に透明!

感動間違いなし!!


さて、特別展も押し迫って参りました。
準備にあわてふためいております。

先日、和歌山市内のお寺からウナギの絵馬を借りてきました。
現在では絵馬を奉納する風習はありませんが、江戸後期頃には盛んに奉納されていたようです。

今回、文献を参考にお寺を訪ねると、ウナギに関する絵馬が数点発見されました。

その1 白いウナギの絵馬
和歌山の絵馬
小型の絵馬 白いウナギが一匹 白いウナギは神の使いとされているところがあり、そういった信仰が和歌山にもあった
証拠となりそう。

その2 2匹のウナギ絵馬
和歌山の絵馬
小型の絵馬 比較的リアルなウナギが2匹 「奉納 心願成就」とある。

その3 3匹のウナギ絵馬
和歌山の絵馬
中型の絵馬 蛇篭の前に3匹のウナギ 

いずれも、新発見の絵馬です。是非実物を会場でご覧下さい。
いろいろな言われもあるのですが、それは会場でのお楽しみ。

ウナギの絵馬の他にナマズの絵馬も発見されました。
三重県のお寺でもウナギとナマズはセットらしく、ヌルヌルした物同士ゆかりがあるようです。

参考までに写真のみですが、掲載します。
残念ながら、ウナギではないので展示はしない予定です。
和歌山の絵馬
和歌山の絵馬

このほかにも数点ナマズの絵馬、狐の絵馬、馬?の絵馬、天狗の絵馬などが発見されました。

やはり、昔からウナギは食だけではなく、精神的な面でも人と深く関わっていたのですね。
昔、子ども向けの本には、「だいかいぼう!ドラ○もんのすべて!」といった図が描いてあり
体の仕組みや、中の様子などがよくわかるようになっていました。

なんだか、じっくりと見ていたように思います。

ということで、ウナギの体の仕組みを判りやすく説明するため、こんな絵を書いてみました。


「だいかいぼう!これがウナギのすべてだ!」

かいぼう

これは、内臓と骨格バージョンです。

ここに各臓器の説明を付けてみようと思います。
「ウナギ肝臓 消化液をつくったり、エネルギーをたくわえたりするぞ!にんげんにつかまると肝吸いにされてしまう!」
みたいな・・・

いつまで経っても子どもの心を忘れないのが、学芸員という人種です。
少なくとも、私のまわりにはそういうひとが多い気がします。


はじめは、かなりリアルな骨格図を作ったのですが、デフォルメをするようにアドバイスを頂きました。

リアル版は、Tシャツにでもしたら格好良さそうですが、需要があるかは問題です。
ちなみに、頭部はこんな感じ。


骨格




たいていの図鑑にはオオウナギAnguilla marmorataの説明に
「皮が固く脂が多く不味い」などと書かれています。
確かに、普通のウナギよりは皮は固いのですが脂が多いというのは常々疑問に思っていました。

というのも、オオウナギの筋肉には脂肪分が少なく、むしろあっさりしているためウナギにくらべると
美味しくはないというのであれば、納得が行くのですが・・・
(*成熟しかけた銀化個体では多く脂肪を含みます。)

特別展に向けて、和歌山県でのオオウナギの記録を調べていたところ江戸後期の本草学者、畔田翠山の書いた「水族志」に気になる記述がありました。

翠山は小林義兄(1743-1821)の「湖魚考」(1806)を引用し、大ウナギの項に

「皮黒黄ニシテ骨フトクツヨシ 
是ヲサイテカバヤキ(蒲焼き)トナシケルニ 皮ハ毛物ノ皮ノ如ク
身ハ豆腐ヲウスク切 油ニテヨクアケタラン如クニシテ
歯ニアテ見ルモ中々クヒキレズ古キ綿ヲカム心地シケル」

と、その味について記しています。
しかし、これは琵琶湖沿岸での話であり、分布域から考えてオオウナギではなくウナギの老成個体であると考えられます。
後の図鑑のオオウナギは美味しくないという記載、特に脂が多いという記述は、この翠山の記載が元になっているのかもしれません。

水族志
「水族志」明治17年再版 原本は文政10年(1827) 当館蔵

この水族志、紀州の魚を中心に様々な魚について詳細に述べられています。
和歌山の魚類を研究する上で非常に重要な文献で、南方熊楠も東大予備門時代に購入して読んでいたそうです。

だんだんと生物学というよりは、文系の色濃くなって参りました。
古い文献を掘るのは非常に面白いですね。

今回の特別展のひとつのテーマ「ウナギと人のかかわり」

ウナギをつかまえる!というコーナーもあります。

日本人は昔からいろいろな方法でウナギをつかまえてきました。

今日は、海南市立歴史民俗資料館から「ウナギかき」をお借りしてきたので紹介します。
実は先日、県立紀伊風土記の丘からもひとつ借りてきました。

うなぎかき

上が紀伊風土記の丘所蔵品、下が海南市立歴史民俗資料館所蔵品です。
だいぶ作りが違いますが、両方とも県内で使用されていたものです。

ウナギかきはドロの中に居るウナギを引っかけて捕る漁具です。
有明海でワラスボ(ハゼ科)を捕る「スボカキ」と同じ仕組みで、主に干潟で使用されることが多いのですが、
和歌山県内では海南市や紀の川市など、ため池が多い地域で使用されていたようです。

風土記の資料をお借りしたときに、「日本刀みたいだなぁ」と思ったのですが、
今日、海南市の資料を寄贈された方とお話をしたところ、
「昔は刀を鍛冶屋に持っていって改造してもらった」とのお話を聞きました。
どうやら、刀説が俄然現実味を帯びてきました。

うなぎかき

刀で言うところの茎(なかご)にあたる部分には目釘穴らしき穴が4つあいています。
刀身部の断面も、刀のようで、鎬は確認できませんが、峰に隆起線もあり単にウナギ採りの道具にしては懲りすぎている感じがあります。

おそらく、これも刀をウナギかきに改造した物ではないかと思います。
また、誰か詳しい人に聞きたいと思います。

海南市の資料は、当時のままの柄がついていますので、想像で使ったつもりになってみました。
うなぎかき

おそらく、このようにドロの中をかき回してウナギを捕らえていたのだと思います。
ますますもって、民俗学の色が濃くなってきました。さて、どのあたりまで突き進むか・・・・

和歌山県内でのウナギ採りやウナギに関する情報お待ちしております!
何かありましたら、自然博物館までメールください。