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今日は友の会のイベント、「干潟の観察会」がありました。
私はお留守番で、特別展の準備をしていたのですが、お土産をもらいました。

それが、このレプトです。

カライワシ

前回のレプトのお話はソトイワシでしたが、今回はカライワシです。
カライワシは、大人になると全くウナギに似ておらず、その名の示すとおりイワシのような姿をしています。
しかし、赤ちゃんの時はしっかりとレプトケパルスな姿をしています。
ウナギ目ではなくカライワシ目ですので立派な尾鰭がついております。

カライワシ

背鰭と臀鰭のつけねの位置が前後にずれているのがカライワシの特徴です。
イセゴイのレプトはよく似ていますが、背鰭と臀鰭のつけねが重なります(表現が難しい・・・)。

和歌山県の沿岸でも、ときおり親が漁獲されレプトも汽水域などでときおり見かけます。

シラスウナギの採集をしていると、混ざって捕れることもあります。
そう言った意味では、身近なレプトのひとつといって良いかもしれません。

まぁ、普通に生活していれば滅多にお目に掛かることは無いのですが。


今回は、新鮮なレプトだったのできれいな写真が撮れました。

早速、特別展に活用させてもらおうと思います。

今日はいつものシラス屋さんへ寄り道し、先週捕れたレプトを頂いてきました。

「しっぽの先がくびれてて、あんまり長くないの!」
と電話で伺っていたので、大体想像出来ましたが、想像通り、ソトイワシでした。

ソトイワシ

■■■■■■■■標本データ■■■■■■■■
ソトイワシ 
Albula forsteri Valenciennes in Cuvier and Valenciennes,1847
標本番号:WK-Lep-48
採集日 :06.Dec.2010
採集場所:和歌山市松江 地先 紀伊水道
採集方法:シラスバッチ網
全長:64.6mm
体長:58.8mm
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


ちゃんと尾びれがあるレプトです。

レプトとは、レプトケパルス幼生のことで、カライワシ上目Elopomorpha(wikipedia)に属する魚類の特異的な形をした幼生のことです。

平べったい(側扁した)、柳の葉やオリーブの葉のような形をしており、生きているときはほぼ透明です。

レプトと言えば、ウナギのレプトを探しに航海する話や、食用にされる”のれそれ”などが有名ですが、
これらはいずれもウナギ目のレプトで、いわゆる典型的な「魚の尾鰭」のような物はありません。
一部を除いてウナギらしい尾鰭はあるのですが、背鰭や尻鰭と連結しており、あまり尾鰭らしくはありません。

 しかし、ソトイワシが含まれるソトイワシ目や、カライワシ目のレプトには立派な(?)尾鰭があります。
身の質も肉厚で、やはりウナギ目とは趣が異なります。
なかなか不思議なレプト・・・とても面白いです。

さてこのソトイワシ、紀伊水道にレプトは12月頃に現れるようですが、親の姿はあまり見かけません。
白浜でとれた記録はあるのですが、少なくとも私はまだ見たことがありません。
それほど沢山は生息していないのだと思います。

同じく尾鰭のあるレプトのカライワシの親は時々見かけるのですが、ソトイワシ君はどこへ行ってしまうのでしょう?見かけたら、教えてくださいね。

最近、日本産のソトイワシ科魚類はマルクチソトイワシとソトイワシの2種がいることが明らかになりました。
(日高ら2004)
レプトの段階で2種を判別するのは・・・・どうでしょう?なかなか難しそうです。

とりあえず、和歌山の子たちは広く分布するソトイワシに納めておきますが、DNAとかを見たらマルクチさんかも知れませんね。

まぁ、ウチでは見れないんですが・・・・サンプルだけは取っておくこととします。

今日頂いた中には他にもクロアナゴ(?)とハモのレプトもありました。

ちょっと季節外れ感がありますが、まあ許容範囲かな?


面白いレプトがあれば、また紹介します。



さて、先日捕ってきたレプト君たちを少しだけ紹介しましょう。

ツイッターではお知らせしましたが、1個体だけ生きていたので、展示しました。

れぷと

クロアナゴのレプトです。ただし、変態期と言って親と同じ形に変身途中の個体です。
変態期になると、いくぶん体もハリが出てきて網でとっても生き残りやすくなります。
体側の色素胞はほとんど無く、心臓周辺と消化管に色素胞が現れます。

2日たった今日の段階で、いくぶんからだが濁り始め、体高も低くなりました。
おそらく透明な姿はあと数日だと思います。
変態が始まると、かなり急速に変化していきます。

そのほかのレプト

今回は5種類のレプトが捕れました。

今日はハモを紹介します。
れぷと
祇園祭や天神祭の時に珍重される高級魚です。
紀伊水道では秋にレプトが出現します。
子どものころから顔が長く、少しイカツイ感じがします。
パッと見特徴的な色素胞はありませんが、よく見ると体側中央より少し下の筋隔上に特徴的な色素胞があります。


れぷと

いっぱい捕れたので、どこかで見たことがあるような写真を撮ってみました。

続く。
昨日はお休み。プライベートでいつもお世話になっているシラスやさんに行ってきました。

お目当ては、シラス(チリメンジャコになるカタクチイワシの仔魚)に混ざるいわゆるチリモン(T.M.きしわだ自然資料館友の会)。
そんななかでも、主にウナギ目(もく)の魚類の赤ちゃん、レプトケパルス幼生を探しに行きました。
今の時期はアナゴの仲間のレプトがとれる時期で、昨日もいくつか捕れました。

マアナゴやクロアナゴなどのレプトは、「のれそれ」や「帯白魚(おびしらうお)」などの名前で流通しています。
珍味として食べられたことがあるかもしれません。

春先には大きなレプトが沿岸に突然現れます。
ウナギのレプトは、はるかグァム沖や沖縄沖まで出かけないと捕れませんが、アナゴやウツボの仲間、ウミヘビ(魚類)、ハモなどは岸近くでも見られます。

生きているときは、本当に透明で目しか見えません。
死ぬと白濁するので、だいぶわかりやすくなります。

今回はレプトと稚アナゴに変身(生物学用語では変態(メタモルフォーゼ)といいます。)している途中の「変態期」のものが捕れました。
レプトはある程度大きくなると、いわゆる大人の形に変態するのですが、そのときには劇的な変化が起こります。

まずは、大きさ。
普通は、成長するときにはだんだんと大きくなるものですが、変態に伴って一度長さが短くなります。
そして、幅が狭く(体高が低く)なります。

次に、肛門と背びれの位置。

レプト1
これはレプト期の写真ですが、背びれが始まる位置と肛門の位置はかなり後ろにあります。
これが、変態が始まるとぎゅーん!と前に動いていきます。

レプト2
こちらが変態期。だいぶアナゴっぽくなってます。
背びれと肛門の位置も前に出ているのが解ります。

こうして、親と同じ形になっていくのです。

この変化は、かなりのスピードですすみます。
以前アミウツボというウツボのレプトを飼育したときにあまりの変化に驚いたことがあります。
透明だった体が白く濁り始め、体表に模様が現れ、赤血球が作られることによって心臓が赤くなります。
それまでふらふらと浮かんでいたものが、底近くに沈むようになります。


いつか、そんな様子が観察できる展示が出来たら良いなぁと思っています。


和歌山市の目の前の海にも、こんなフシギなレプトが泳いでいます。

運が良ければチリモンとしてお目にかかれるかも?